クレジットカード付帯の海外旅行保険は複数枚持つことで有用な保険になる
2024-02-01
海外旅行の計画を立てる時には、航空チケットやツアー、宿泊ホテルの予約などについて、旅行に使える時間や資金等をもとにいろいろと予定を立てていくかと思います。
そしてその際に、あまり考えたくはないことなのですが、万一のケガや病気などのアクシデントが発生した時のことを考えて、海外旅行保険について検討する機会があると思います。
2023年ようやく海外旅行再開へ
2020年1月に流行がはじまった中国発の新型コロナウイルスの影響が、アジアやヨーロッパ、アフリカやアメリカなど世界各国へ広く拡散して流行しており、世界的な流行(パンデミック)となりました。
その後も新型コロナの流行が続き海外へ行くことが難しい情勢でしたが、日本でも2023年5月には新型コロナが5類扱いになるなど各国で流行が終息へ向かったことで、ようやく以前のように自由に海外旅行へ行けるようになりました。
ただ、まだしばらくは新型コロナウイルスの感染リスクが完全になくなるわけではなさそうですし、他の疾病やケガなどのリスクなども考えるとやはり海外に行かれる際には海外旅行保険を準備しておくほうが安心して旅行へ出かけられると思います。
海外旅行時や帰国後に新型コロナウイルスに感染・発症した場合の海外旅行保険による疾病治療費用等の適用に関する旨の案内は各保険会社のHPなどに掲載されています。
インターネットで海外旅行保険について調べると、インターネット上で手軽に契約ができる海外旅行保険のサイトや、クレジットカードに付帯されている海外旅行保険に関するさまざまな情報を掲載しているサイトなどを見つけることができます。
このページを今ご覧の方の中にも、海外旅行保険について情報を探すためにネット検索をしてここに来たという方が多いのではないかと思います。
そこで、私が仕事や旅行で海外に行く際にいつも利用している、年会費無料のクレジットカードを複数枚併用する海外旅行保険利用術について紹介します。
この方法を利用することで、短期旅行はもちろん、長期滞在時に高額になりがちな海外旅行保険の負担を軽減することができます。
複数枚のクレジットカードの補償は合算できる
インターネットでクレジットカード付帯の海外旅行保険について検索すると、「クレジットカードに付帯されている海外旅行保険は、お金を支払って契約する一般的な海外旅行保険と比べて補償金額が低く、クレジットカードを複数枚持っていても、死亡・後遺障害の補償金額は最も高い補償額がその限度額となり、合算されて増えるわけではない」という情報を見かけると思います。
これはもちろん正しい情報なのですが、一方で大事な内容が不足している情報でもあります。
例えば、死亡・後遺障害の補償金額については最も高い補償額が限度額となるので、海外旅行保険が付帯されているクレジットカードを複数枚持っていてもそれぞれの金額が合算されて増額されることはないのですが、病気やケガの治療費用や救援者費用、賠償責任や携行品損害などの補償金額についてはクレジットカードごとの補償額が合算されて増加するしくみになっています。
また、海外旅行保険を契約した場合には、死亡・後遺障害の補償金額が「契約した海外旅行保険の補償額+クレジットカード付帯の海外旅行保険の補償額(カードが複数枚ある場合は最も高い金額)の合算」となって増額するほか、治療費用や救援者費用、賠償責任や携行品損害などの補償金額については海外旅行保険の補償額とクレジットカードに付帯されている海外旅行保険の補償金額がすべて合算されて増額することになります。
これらのことについては、日本損害保険協会のホームページにもしっかりと記載されています。
つまり、海外旅行保険が付帯されているクレジットカードを複数枚持つことで、カード付帯の海外旅行保険のみを利用する場合はもちろん、海外旅行保険を旅行時に契約する場合にも補償を合算して利用できるということです。
年会費無料のクレジットカードであれば維持費もかからないので、旅行や出張に行く機会の多い方はぜひ複数枚持つことをお勧めします。
海外旅行保険には自動付帯と利用付帯の二種類がある
年会費無料のクレジットカードにも年会費が有料のカードと同じように海外旅行保険が付帯されているものが数多くあります。そしてその補償内容や適用条件は各カード会社によって違いがあります。
海外旅行保険が付帯されている年会費無料のクレジットカードには、大きく分けて自動付帯と利用付帯の二種類があります。
自動付帯はクレジットカードを持っているだけで海外旅行時に自動的に保険が適用されますが、利用付帯は海外旅行費用の支払いにクレジットカードを使わないと保険が適用されません。
自動付帯のカードのほうが当然使い勝手が良いのですが、年会費無料のクレジットカードではとても少なくて貴重な存在となっています。
一方、利用付帯のカードは年会費無料のクレジットカードにも数多くあります。また、下記で紹介する事例のように飛行機や国内移動時の電車やバス等の支払いにそれぞれのカードを使うことで複数枚を併用することもできます。
海外旅行保険が自動付帯されている年会費無料のクレジットカードとしてはエポスカードや横浜インビテーションカードが有名だったのですが、2023年10月の改定によってどちらも適用条件が利用付帯となってしまいました。
自動付帯がなくなってしまったのは残念ではありますが、補償内容は引き続き年会費無料のクレジットカードとしては充実していますので、複数枚利用時にぜひ持っておきたいおすすめのカードです。
自動付帯ではなくなりましたが、利用付帯のカードは航空券やツアー代金の支払い以外にも空港までの公共交通機関を利用の際にカード支払いすることで利用付帯のカードを複数枚併用することができます。
詳しくは以下の記事で紹介していますので、利用付帯のカードを複数枚併用する際にご参考いただければと思います。
年会費無料で海外旅行保険が利用付帯されているクレジットカードは、上記のエポスカードや横浜インビテーションカードのほかにも数多くあります。
おすすめの補償内容が充実している利用付帯カードをいくつか紹介します。
エポスカード | |||
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エポスカードはマルイを展開する丸井グループが発行しているクレジットカードで、疾病治療費用が最高270万円と年会費無料カードでは最高水準の補償額です。傷害死亡・後遺障害が500万円と低めですが、これは他のカードと併用することで高いほうの金額が適用される(合算ではない)ので、とくに問題はないでしょう。また、AmazonやYahooショッピング、楽天など数多くのショッピングサイトが参加する「たまるマーケット」経由で買い物をすれば通常の2~30倍のポイントを獲得することができます。海外旅行にはもちろん日々の買い物でも大いに役立つ一枚です。 補償内容の詳細(公式サイト) |
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傷害死亡・後遺障害 | 500万円 | 救援者費用 | 100万円 |
傷害治療費用 | 200万円 | 携行品損害 | 20万円 |
疾病治療費用 | 270万円 | 補償期間 | 90日 |
賠償責任 | 2000万円 | 家族カード | なし |
横浜インビテーションカード(ハマカード) | |||
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横浜インビテーションカードはJACCS系のカードで、REXカードと同じく海外旅行保険と国内旅行障害保険が付帯されています。ポイント還元額はREXカードに及ばないものの、国内外を問わずカードで購入した商品を年間100万円まで盗難や破損の際に補償してくれる「ショッピングプロテクション」が付帯されています。国内外の旅行時に使うカードとして魅力的な一枚です。 補償内容の詳細(公式サイト) |
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傷害死亡・後遺障害 | 2000万円 | 救援者費用 | 200万円 |
傷害治療費用 | 200万円 | 携行品損害 | 20万円 |
疾病治療費用 | 200万円 | 補償期間 | 90日 |
賠償責任 | 2000万円 | 家族カード | 最大3枚 |
楽天カード | |||
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楽天カードはポイントが貯まりやすいカードとして人気があります。楽天市場でカードを使えばいつでも3倍ポイントがもらえるほか、マクドナルドやミスタードーナッツ、大阪屋ショップなどでもポイントを貯めることができます。海外旅行保険は利用付帯ですが、補償額は年会費無料カードの中では高水準ですので旅行にも日々の買い物にも利用価値がとても高いカードです。 補償内容の詳細(公式サイト) |
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傷害死亡・後遺障害 | 2000万円 | 救援者費用 | 200万円 |
傷害治療費用 | 200万円 | 携行品損害 | 20万円 |
疾病治療費用 | 200万円 | 補償期間 | 90日 |
賠償責任 | 2000万円 | 家族カード | 最大5枚 |
ニコスVIASOカード | |||
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ニコスVIASOカードは三菱UFJニコスが発行するクレジットカードです。以前は海外旅行保険が自動付帯でしたが数年前に規約が変更されて利用付帯になり補償金額も減少しました。しかし、amazonや楽天などが参加する会員専用モール「VIASO eショップ」で買い物をすると最大10%のポイントが加算されるため、ネットショッピング向けの高還元カードとして人気のある一枚です。 補償内容の詳細(公式サイト) |
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傷害死亡・後遺障害 | 2000万円 | 救援者費用 | 100万円 |
傷害治療費用 | 100万円 | 携行品損害 | 20万円 |
疾病治療費用 | 100万円 | 補償期間 | 90日 |
賠償責任 | 2000万円 | 家族カード | 〇 |
リクルートカード | |||
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リクルートカードはリクナビなどで有名なリクルートグループが発行するクレジットカードです。ポイント還元率が1.2%と高い還元率を誇るうえ、海外旅行保険と国内旅行傷害保険が付帯されています。また、国内外を問わずカードで購入した商品を年間200万円まで盗難や破損の際に補償してくれる「ショッピング保険」も付帯されているなど、年会費無料のカードとしては手厚い補償が付帯された高い魅力を持つカードです。 補償内容の詳細(公式サイト) |
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傷害死亡・後遺障害 | 2000万円 | 救援者費用 | 100万円 |
傷害治療費用 | 100万円 | 携行品損害 | 20万円 |
疾病治療費用 | 100万円 | 補償期間 | 90日 |
賠償責任 | 2000万円 | 家族カード | 最大19枚(VISA) |
上記で紹介したものはすべて年会費無料のクレジットカードです。
年会費が無料ですので上記のカードを複数枚所持しても負担はないですし、普段の買い物や光熱費などの支払いでカードを使えばポイントがどんどん貯まっていくなど、日々の生活でもお得に利用することができます。
複数枚の年会費無料カードを実際に併用する例
私は現在、エポスカード・ヨコハマカード・楽天カード・ニコスVIASOカードの4枚を所持しています。
この4枚のカードにそれぞれ付帯されている海外旅行保険を全部合算すると、その補償内容は障害死亡・後遺障害 2000万円、傷害治療費用 770万円・疾病治療費用 700万円、賠償責任 8000万円、救援者費用 600万円、携行品損害 80万円となります。
そしてこの補償額を一般的な有償契約の海外旅行保険の補償内容と比較すると以下のようになります。
一般的な海外旅行保険 | カード付帯保険(合算額) | |
傷害死亡・後遺障害 | 2000万円 | 2000万円 |
疾病死亡費用 | 1000万円 | なし |
傷害治療費用 | 1000万円 | 770万円 |
疾病治療費用 | 1000万円 | 700万円 |
賠償責任 | 1億円 | 8000万円 |
救援者費用 | 1000万円 | 600万円 |
携行品損害 | 30万円 | 80万円 |
補償期間 | 5日間 | 90日間 |
保険額 | 約2000円 | 無料 |
上記の表のように、一般的な海外旅行保険の補償内容と比べてもそれなりの補償内容を確保しています。無料で使える海外旅行保険としては十分な補償内容と言えるでしょう。
カード付帯の保険を利用すれば無料になるとはいえ、表にもあるように5日間程度の旅行なら海外旅行保険料は2000円ほどなので、数年に一度しか海外旅行に行かないのであればわさわざ新規にカードを作らなくてもいいかなと思う方もいるでしょう。
しかし先にご紹介したようにカード付帯保険の補償額は有償契約の海外旅行保険にも合算することができるため、年会費無料のカードを持つことで有償契約の海外旅行保険を追加料金なしでさらに安心できる補償にグレードアップすることができます。
また、上記で紹介しているカードに付帯されている海外旅行保険は一回の旅行につき90日間まで補償してくれるうえ、カードの有効期間中は何度でも付帯保険が無料で適用されます。
一週間程度の旅行なら保険料もまだ安いのですが、数週間から一か月以上海外に滞在する場合には有償の海外旅行保険だと数万円以上になる場合もあるなど結構な出費となってしまいます。
私は数週間から一か月以上海外に滞在する機会が結構あり、もしその都度海外旅行保険を契約すると高額な出費となってしまいます。ですので、この90日間まで補償してくれるというのは私のような海外移動が多い人間にはとてもありがたいです。
もちろん長期滞在する際に「クレジットカード付帯の保険内容だけでは不安」という場合にも、不足分だけを別途海外旅行保険を契約して保証額を上乗せすることができるので、長期の海外旅行時にも柔軟にお得に利用することができます。
旅行や出張等で海外に行く機会の多い方には、この複数枚のクレジットカードを併用する方法はとてもおすすめです。
複数枚のカード付帯の保険を利用する際の注意点
年会費が無料のクレジットカードであれば何枚持っていても負担にはならないのですが、複数枚のクレジットカード付帯の海外旅行保険を併用する際には注意する点がいくつかあります。
①カード付帯の保険には疾病死亡の補償がついていない
まず、すでに紹介したように「障害死亡・後遺障害」の補償額は合算ではなく一番高い補償額が適用されるということと、「疾病死亡」の補償がカード付帯の保険にはないため、病気による死亡では保険金が出ないという注意点があります。
障害死亡・後遺障害の補償額については、カード付帯の保険でも2000万円というものが多く、一般的な海外旅行保険の補償額とあまり変わらないのですが、疾病死亡の補償については、基本的には海外旅行保険を契約しないと補償をつけることができません。この点には注意が必要です。
ただ、海外旅行へ行く際の海外旅行保険の必要性について考える場合、死亡時の補償よりも、万一現地で病気やケガになった際の海外の高額な医療費について心配されている方のほうが多いのではないでしょうか。
そもそも、自身が死亡した際の(家族に残すため等の)保険金について意識されている方の多くはすでになんらかの生命保険に加入されていると思いますので、やはり海外旅行保険に求める補償内容としては、旅行中のケガや病気の治療費用や救援者が支払う費用、携行品の破損や盗難などの補償について意識する方が多いと思います。
これら治療費用や救援者費用の補償は、カード付帯の海外旅行保険の補償額を合算した金額となりますので、複数枚のカードを持つことによって十分カバーすることができます。
死亡時の補償も含めて補償を手厚くしておきたいという方は、カード付帯の保険内容のうち足りないと感じる部分だけを海外旅行保険で契約することで補償内容を更に充実させることができますので、さらに安心できると思います。
②同じカード会社のカード付帯保険は合算できない場合がある
同じカード会社が発行するクレジットカードの場合は、補償額か加算できない場合があります。
例えば、NICOSカードの場合では同社HPの海外旅行傷害保険サービスの案内ページに「当社発行のクレジットカードを複数枚所持されていても、保険金額は合算金額とはならず、上記金額が限度となります」と記載されています。
カード会社によっては合算される場合もあるようですが、カード会社がクレジットカードの規約を変更することはよくありますので、必要に応じてカード会社のホームページ等で事前に規約内容を確認したほうが良いでしょう。
③利用付帯のカードは旅行時に利用しないと保険が適用されない
クレジットカードに付帯されている保険には、カードを持っているだけで保険が適用される自動付帯と、航空券やツアー費用などの旅費をカードで支払った場合にのみ適用される利用付帯の二種類があります。
利用付帯の条件には、航空券やツアー費用の支払いのほかにも日本国内で公共交通乗用具(飛行機や新幹線・電車・バス・タクシー等)の予約・購入の支払いにカードを使用した場合に適用されるというものが多くあります。
ですので、利用付帯のカードは航空券代や旅行ツアー代、国内移動時の電車代の支払いなどに使う必要があります。
例えば、私が所有している楽天カードとニコスVIASOカードは利用付帯のカードですので、金額が高い航空券の購入には楽天カードを使ってポイントを多く貯めつつ、自宅から空港までの国内の移動時にニコスVIASOカードで空港バスのチケットを購入することで両方のカードの付帯保険を適用させています。
ちなみにJRの普通電車を利用する場合はみどりの窓口などで普通切符を購入することでクレジットカードを利用することができます。
このように、利用付帯のクレジットカードが複数あっても、国内の移動交通手段の支払いに使うことで保険を適用させることができますので、自動付帯のクレジットカードとあわせて海外旅行保険が付帯されたカードを複数枚持つことができます。
カード会社のキャンペーン利用で更にお得に
ここまで紹介してきたように、年会費無料のクレジットカードには多くのメリットがあります。デメリットを挙げるとすればカード契約時のちょっとした手間くらいではないかと思います。
上記で紹介した楽天カードやエポスカードなど各カード会社では入会キャンペーンなどお得にカードを入手できるキャンペーンを実施していますので、これらを利用することで更にお得に海外旅行保険の準備をすることができます。
年会費無料のクレジットカードでもここでご紹介したように複数枚を併用することで補償額を充実させることができることから、安心できる海外旅行保険を無料で手に入れることができます。
海外によく行かれる方はもちろん、これから海外旅行へ行く予定のある方は海外旅行保険が付帯されているクレジットカードの利用を検討してみてはいかがでしょうか。