NTTドコモの新料金プラン「ahamo(アハモ)」が中国への旅行や留学においてかなり役立つツールになりそうな件

2024-03-09

NTTドコモが2021年3月26日から開始した新料金プラン「ahamo(アハモ)」は、追加料金なしで月間20GBのデータ容量をそのまま海外でも国際ローミング通信として使用することができることから、中国滞在時に悩まされるgoogleやLINEなどの利用規制への対応手段として大変役立つプランになりそうです。

これは同じ月間20GBのデータ容量プランを打ち出してきたソフトバンクやau、日本通信のプランにはない魅力的な内容です。

この追加料金なしで国際ローミングサービスが利用できることのメリットについて紹介します。

追加料金なしで国際ローミングサービスによる中国のネット規制回避が利用できる

2023年現在、中国国内ではgoogleサービス全般やFacebook、TwitterやLINEなど多くのサービスが規制によってアクセスできないようになっています。他にもYahoo検索やInstagram、ニコニコ動画やDropboxなど日本で利用できる多くのサービスが中国では通信規制されて利用できない状態となっています

ですので、中国旅行や留学、仕事での現地駐在者が中国国内で上記のサービスを利用するためには、日本の各携帯会社が提供している有料の国際ローミングサービスを使うか、グローバルWiFi機器やVPNなどを別途契約して利用することになります。

google検索やYahoo検索が使えないと現地で知りたい情報をネット検索する際にとても不便ですし、gmailやLINEが使えないと日本との連絡手段がかなり制限されて本当に大変です。

ドコモ新プラン「ahamo」報道発表資料 月額料金の抜粋

ドコモ新プラン「ahamo」報道発表資料 月額料金の抜粋(出典:NTTドコモ

今回、NTTドコモが2020年12月に発表した新料金プラン「ahamo(アハモ)」は、月額2970円(税込)でドコモの5G通信が使えるだけでなく、海外82の国や地域において20GBの月間データ通信容量をそのまま利用できることから、このプランを使用することで追加料金を支払うことなく中国国内で国際ローミングサービスが使用できるようになります。

これまで旅行などで中国に滞在する際には、一日あたり数百円~3千円程度の国際ローミング料金を追加して支払うか、グローバルWiFi機器などを別途契約して利用する必要がありましたが、数日間の旅行でもそれなりの出費となりますし、機器の貸与契約や返却の手間も発生していました。

今回のドコモのプランでは、これらの海外利用時の問題点を一気に解決してくれそうですので、中国のみならず、今後新型コロナウィルスの流行が落ち着いた後にアメリカやヨーロッパなど海外旅行へ行く予定がある方にとっても利用価値が高いプランになると思います。

また、日本国内での利用においても毎月20GBのデータ通信容量や1回あたり5分以内の無料国内通話がついて月額2970円(税込)というプラン内容はかなり魅力的なこともあって、他社からの乗り換えやプラン変更を検討している方も多いのではないでしょうか。

ドコモの発表では2022年3月には契約件数が300万件を超えたとのことで、今後も若者を中心に利用者が増えていくと予想されています。

追記①

下記にも紹介しているように、ドコモのahamoが2020年12月に発表されて以降、楽天モバイルや日本通信、ソフトバンクやauが同様の20GB新プランを発表してきました。

ahamoと楽天モバイル以外はいまのところ海外ローミングの無料サービスを付帯していませんが、ドコモによるahamoの発表によって各社が月額料金の値下げに動いたことは消費者にとっては喜ばしい流れだと思います。

新型コロナ流行前の2019年には年間延べ2000万人が海外へ行っていることから国際ローミングサービスにはそれなりの需要があるはずなので、ahamoを含めて各社のプランが更に顧客ニーズに沿ったものに変化していってくれることを期待しています。

ahamoと同じく追加料金なしで国際ローミングサービスが利用できる楽天モバイルのRakuten UN-LIMITの詳細や両者の比較については以下の記事で紹介しています。

長期滞在時の通信速度制限には注意が必要

「ahamo」報道発表資料 5.海外利用の抜粋

「ahamo」報道発表資料 5.海外利用の抜粋(出典:NTTドコモ

ahamo発表時のドコモの報道発表資料には、海外利用の紹介部分に「※15日を超えて長期間海外で利用される場合は、通信速度が制限されます」との注意書きが記載されていました。

この通信速度制限について、2021年3月に入ってから「15日経過後の海外では最大128kbpsの速度制限がかかる」と公式サイトにて発表されました。

この発表の前までは、20GBのデータ通信容量超過後の国内での通信速度制限と同程度の1Mbps程度であることを期待していたのですが、残念ながらそれはかないませんでした。

私が中国国内で有料のVPNを使用して日本のインターネットサービスを利用する際の通信速度は概ね1Mbps前後で、その速度ならLINEでのメッセージのやり取りや音声通話はさほど問題なく利用できていましたが、通信速度が数百kbpsに落ち込んだ時にはメッセージのやり取りに時間がかかるなど支障が出ていました。

つまり、この最大128kbpsの速度制限というのは実質使えないと言ってもいいほどの制限となります。

また、VPNはパソコンでもスマホでも利用できるのですが、中国国内ではVPN利用時に常時VPN接続の設定をしても勝手にVPN接続が途切れることが多く、結局自分で都度接続してLINEの着信などを確認する作業が必要となります。

一部のVPN会社のスマホ用アプリには切断時に自動で再接続してくれるサービスもありますが、それでも中国国内では再接続に失敗してVPN接続が途切れた状態となってしまうことが多いです。

その点、国際ローミングサービスを利用した接続であれば通信が途切れることなく常時通信ができることから、海外滞在時には国際ローミングサービスが使えるスマホがあるとLINEなどのSNS着信を使う際に大変便利です。

残念ながらahamoは海外での長期滞在には向かなくなりましたが、楽天モバイルのRakuten UN-LIMITであれば毎月2GBの国際ローミング通信が付与されるので、長期滞在時にも利用することができます。

さらに、ahamoでは月間データ容量を追加購入しても日本に帰国するまで海外での速度制限が解除されないですが、楽天モバイルは毎月2GBの無料海外通信量がなくなってもいつでもオンラインで海外データ通信量の追加購入ができます

ですので仕事や留学で長期滞在する際には楽天モバイルのRakuten UN-LIMITのほうが利用しやすいと言えるでしょう。

このように、現状では旅行など短期での海外滞在ならドコモのahamo、長期での海外利用なら楽天モバイルのRakuten UN-LIMITがおすすめとなります。

他社から対抗プランが出るも楽天以外は海外無料通信なし

各携帯通信会社の月額料金比較表(出典:日本通信

2020年12月3日にNTTドコモが新プランのahamoを発表した次の日の12月4日、早速格安SIMサービスを提供する日本通信が対抗プランとなる新プラン「SSDプラン(仮称)」を発表しました。

月額2178円(税込)で月間16GBのデータ通信容量と70分の無料通話が使えるというプラン内容で2020年12月10日からサービスが提供され、ドコモのahamoの提供開始日以降にはデータ通信容量が月間20GBに増量されるほか、公式サイトにも「ドコモへの対抗プラン 投入決定」と大きく記載するなど、ahamoへの対抗プランとしての存在であることを大きくアピールされていました。

ただ、一般的に格安SIMは海外ローミングサービスがあっても海外現地で通話やSMS(電話番号でのショートメール)は使えてもデータ通信ができない仕組みとなっていることが多く、今回の日本通信の新プランについても、詳細ページの通信・エリアの案内内容に「海外でデータ通信はご利用いただけません」と記載されています。

以上のことから、ドコモのahamoよりも月額1000円も安い価格で月間20GBの通信容量を設定してきた日本通信の新プランは、国内利用のみを考えれば十分に消費者を引き付けることができる対抗プランとなりそうですが、海外旅行や留学先での利用を考えている方にとってはやや魅力に欠けるものと言えそうです。

ちなみに、auとソフトバンクそれぞれのサブブランドであるUQ mobileとワイモバイルもそれぞれ月間20GBのデータ通信量のプランを発表しています。

しかし、UQ mobileは月額4378円(税込)、ワイモバイルが月額4928円(税込)とドコモのahamoと比べて高いうえ、UQ mobileは海外でのデータ通信が利用できず、ワイモバイルは海外でのデータ通信が一日ごとに25MB以上で3278円(税込)の追加料金がかかります

auとソフトバンクが今回のドコモが発表した新プランahamoにプラン内容で完全に対抗するためには、価格はもちろんサブブランドでの海外ローミングサービス内容を改善するか、メインブランドでahamoと同様の新プランを設定することが必要となりそうです。

追記②・ソフトバンクが新ブランドからの対抗プランを発表

2020年12月22日にソフトバンクがahamoの対抗プランとなる「LINEがギガノーカウント」を発表しました。月額料金は3278円(税込)となっています。

ソフトバンク新ブランド報道

ソフトバンク新ブランド報道発表資料 月額料金の抜粋(出典:ソフトバンク

毎月20GBのデータ通信容量や5分以内の国内通話が無料でソフトバンクの5G通信が利用できるなどドコモのahamoとほぼ同じプラン内容となっているほか、LINEでのデータ通信分がノーカウントとなるなど魅力的な内容となっています。

後の発表で名称が「LINEMO」(ラインモ)となり、月額2728円(税込)で5分以内の国内通話がオプションになるなどの変更点もありましたが、残念ながら当初の予想通り海外ローミングは一日ごとに別途通信料が必要というプラン内容となっています。

月間20GBのデータ通信を海外で追加料金なしで利用できるようになれば、海外旅行での利用も視野に入れて考えている方にとって選択肢のひとつになれたと思いますが、現状では海外利用に関してはahamoや楽天モバイルに一歩及ばずといった内容にとどまっています。

追記③・auが新料金プラン「povo(ポヴォ)」を発表

2021年1月13日にauがahamoの対抗プランとなる「povo(ポヴォ)」を発表しました。

au新料金プラン「povo」発表資料 月額料金の抜粋

au新料金プラン「povo」発表資料 月額料金の抜粋(出典:KDDI

毎月20GBのデータ通信容量や5G回線が利用できる点はドコモやソフトバンクと同じながらも、5分以内の国内通話無料を550円(税込)のオプションとすることで月額料金を2728円(税込)に設定してきました。

また、1日(24時間)のデータ通信が使い放題となる「データ使い放題 24時間」を一回220円(税込)でオプション設定するなど、音声通話よりもデータ通信をよく使う層に向けて他社との差別化を図ったものでした。

この料金設定は、普段の通話はLINEなどを使うので通話かけ放題はいらないという方にとっては先に発表された当初のahamoやソフトバンクの新プランよりも金額的に魅力的なもので、のちに他社も追随するように料金変更をおこなうことになりました。

ただ海外での国際ローミングサービスに関しては2024年2月現在有料でのサービス提供となっていますが、例えば海外データ1GB(3日間)が1480円など、楽天モバイルやahamoと比べると正直実用的ではないプランとなっています。

追記④・楽天モバイルが「Rakuten UN-LIMIT VI」を発表

各社20GB新プランの比較表

各社20GB新プランの比較表(出典:楽天モバイル

2021年1月29日に楽天モバイルが発表したRakuten UN-LIMIT VIは、月間データ通信量が1GBまでの場合は月額料金が0円、20GBまで使った場合も2178円(税込)という画期的なプラン内容でした。

この1GBまで0円という料金プランは2022年7月にRakuten UN-LIMIT VIIになった際に3GBまで月額1078円に変更されてしまいましたが、海外滞在時に追加料金なしで毎月2GBまで国際ローミングサービスが利用できるサービスは継続されています

ドコモのahamoは20GBの月間データ通信量をそのまま国際ローミングとして利用できることから、一見するとRakuten UN-LIMITの国際ローミング通信量はahamoの1割となる2GBと少なく見劣りします。

しかし、ahamoは無料通信量残っていたとしても15日間以上の海外滞在時には通信速度制限が発生することから、留学や仕事などで長期間海外に滞在する際には毎月2GBの通信量が利用できるRakuten UN-LIMITのほうが利用しやすくなります。

また、楽天モバイルの通話アプリ(Rakuten Link)を使うことで日本国内での通話はもちろん海外から日本への発信通話も無料で使うことができるなど、海外滞在時における利便性が高いプランとなっています。

ahamoの海外での制限時の通信速度が最大128kbpsと発表されたことから、現状では長期間海外に滞在する場合にはこの楽天モバイルのRakuten UN-LIMITのほうが多くの方にとって利便性が高いプランと言ってよいかと思います。

海外利用におけるahamoとRakuten UN-LIMITとの比較については以下の記事で紹介していますので、今後海外での長期利用をお考えの方はご参考いただければと思います。

まとめ

いつもなら他社の動きに合わせてすぐに同様なプランを出してくる携帯キャリア3社ですが、ソフトバンクは3週間近くたってから新ブランドからの提供を発表し、auは2021年1月になってようやく新プランを発表をするなど、今回紹介しているドコモの新プランahamoの発表は相当にインパクトがある携帯料金値下げの動きであったと言えそうです。

いずれにしても消費者にとってはとても喜ばしい動きだと思います。

ここまで紹介してきたように、一日ごとに利用料金がかかるこれまでの携帯キャリアの国際ローミングサービスや、レンタル機器返却の手間がかかるグローバルWiFi機器と比べると、今回紹介したドコモのahamoや楽天モバイルのRakuten UN-LIMITは今後旅行などで海外へ行く方にとってとても魅力的なプランになると思います。

とくにgoogleやLINEが使えない中国への渡航時に国際ローミングが無料で気軽に利用できるというのは大きいです


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ちなみにahamoとRakuten UN-LIMITはどちらも海外での国際ローミング通信が利用できるだけでなく、国内5G通信にも対応しています。

残念ながら日本国内では5G通信ができるエリアはまだまだ少ないですが、2024年現在では5G対応スマホもずいぶんと安くなっていて上記のXiaomi Redmi12だと2万円台で購入することができます。

以上、ドコモのahamoと楽天モバイルのRakuten UN-LIMITに付帯される無料国際ローミングサービスの利便性についてご紹介しました。