中国のPM2.5環境汚染状況をリアルタイムで確認する方法

2024-03-09

ここ数年、PM2.5大気汚染に代表される中国の環境汚染の深刻さが増しており、北京などの都市部では昼間でも視界不良で近くのビルが霞んで見えないほどの日もあります。

また、日本でも大陸に近い九州地方では大陸から飛来するPM2.5などによる環境への影響が懸念されています。

幸い、最近ではインターネット網の発達によって中国各都市のPM2.5大気汚染状況や週間予報等を随時確認できるwebサイトがありますので、飛散状況を確認して健康上の自衛策をとることができます。

中国各都市の大気汚染状況を確認できるwebサイト

「AQICN.org」リアルタイムPM2.5大気質指標

「AQICN.org」リアルタイムPM2.5大気質指標

このサイトでは、北京や上海などの大都市はもちろん、地方にある中小都市のAQI(大気汚染の程度を示す指標)や気温・湿度等の天気情報を確認することができます。

一般的な天気予報サイトと同じように無料で誰でも閲覧でき、日本や韓国など中国以外の都市のAQI数値も確認することができます。

日本語や英語、中国語など多言語表記に対応しており、数時間ごとに更新されるのリアルタイムAQI数値や2日前からの変動グラフ、週間予測などの情報を得ることができます。

AQI数値地図表記 出典:aqicn.org

都市別AQI数値の地図表記 出典:AQICN.org

上記画像は、冬のある日の中国(左側)と日本(右側)の都市別AQI数値の地図表記です。日本は全体的に緑色や黄色なのに対し、中国では広範囲の地域で赤色や紫色が多くなっているのがわかります。

この色分けは、AQI数値によって以下の画像のように分類されています。

AQI数値別色分け表 

AQI数値別色分け表 出典:AQICN.org

日本は大気汚染度が低い緑色(AQI値 0~50)や黄色(AQI値 51~100)が多く、総じて大気汚染度が低い状態にありますが、中国では赤色(AQI値 151~200)や紫色(AQI値 201~300)が多く、重汚染を示す栗色(AQI値 300以上)の地域もあります。

中国では赤色が標準状態のようにもなっていますが、赤色時のPM2.5濃度は1立方メートルあたり115~150μgとなり、日本のPM2.5濃度の環境基準値(1日平均値)である1立方メートルあたり35μgを大きく超えた値となっています。

ちなみに中国のPM2.5濃度の環境基準値(1日平均値)は1立方メートルあたり75μgとなっており、日本の基準よりも緩くなっていますが、赤色の地域はそれをも越えていることになります。

赤色でこの数値ですから、紫色以上の地域ではかなりの注意を払う必要があります。日本の外務省や在中国日本大使館のHPでも注意喚起が発表されています。

PM2.5とは

PM2.5とは、粒子径が概ね2.5μm以下の微小粒子状物質のことです。

この2.5μmという大きさは、髪の毛の太さ(70~80μm)の約30分の1、スギ花粉(約30μm)の約12分の1という肉眼では見えない極小サイズです。

PM2.5はこのように非常に小さな物質であるため、環境省のHPでも「肺の奥深くまで入りやすく、呼吸系への影響に加え、循環器系への影響が心配」と指摘されています。

・PM2.5の飛散状況を確認できるwebサイト

日本気象協会HP「tenki.jp」では、上記画像のような日本付近のPM2.5分布予測図を発表しています。

この図を見ると、中国大陸の広範囲でPM2.5濃度が高くなっていることがわかります。対して日本列島では、大陸に近い九州地方を除いて大部分の地域でPM2.5濃度が低いことがわかります。

中国でPM2.5が多く発生している原因は、経済発展によって工場等で大量に消費される石炭や自動車から出る排気ガス、家庭で使われている石炭を原料とした練炭などが主な原因と言われています。

これらの要因によって、先述したように中国では広い地域でPM2.5濃度が1立方メートルあたり100μgを越える状況となっているわけです。

この10年で急速に大気汚染が深刻化

数年前の北京天安門広場の様子

数年前の北京天安門広場の様子

上記の画像は10年程前の冬に北京の天安門広場で撮った写真です。日本のような青空とまでは言えないものの、現在の北京の空と比べればきれいな青空でした。

最近の北京空港周辺の様子

最近の北京空港周辺の様子

しかし、数か月前に乗り継ぎで北京空港に寄った際は、上記の画像のように空全体が白く、向こうにある建物が白く霞んで見え難い状態になっていました。

空港内のお土産店の店員さんに聞いたところ、これでも「今日はまだマシなほう」と笑って言われたことが今でも記憶に残っています。

私は広州や昆明など南方地域で活動する仕事が多く、訪れる時期も良かったのか写真のように建物が白く霞む様子を見る機会がありませんでした。

今回の件で最近の中国の大気汚染の酷さを少しだけ実感することができ、訪日中国人観光客らに日本製の空気清浄器やマスクが人気がある理由がよくわかりました。

中国政府も環境対策を進めていくと思いますが、残念ながら大気汚染問題は早急に改善できる案件ではないので、今後しばらくは中国の景気が停滞するようになるまではこのような状態が続くかと思います。


超立体マスク PM2.5対応 日本製

2020年から始まった新型コロナウイルスの流行も落ち着き、PM2.5対応の日本製マスクはドラッグストアやネットショップなどで数百円程度からと意外と安く入手することができます。

上記画像のような50枚入りのPM2.5対応日本製マスクがAmazonなら数百円で購入することができますので、いざというときに備えて購入しておくと安心です。