Windows10アップグレードによる10のメリット・デメリットの紹介(デメリット編)
2023-07-18
前項ではWindows10アップグレードのメリットについて紹介しました。次にデメリットの部分について紹介したいと思います。
Windows10アップグレードのデメリット
1.DVDが再生できない
Windows10には、標準の状態ではDVD再生機能が付属されていません。
Windows7では、DVD動画再生機能を持つWindows Media CenterのおかげでDVDディスクをドライブに挿入すれば普通に動画を再生できていました。
しかし、Windows10にアップグレードするとこのWindows Media Centerが削除されてしまいます。
もちろん、Windows10ではDVDが見れない仕様になってしまったというわけではなく、Microsoftが提供している「Windows DVD プレーヤー」を利用することでDVDを再生できるようになります。
「Windows DVD プレーヤー」は、Windows7や8/8.1からアップグレードした場合にはWindows Update経由にて無料で入手することができます。
また、Windows10をクリーンインストールした場合など、無料入手ができない場合には、Windowsストアで有償(1.500円)にてダウンロードすることもできます。
他にも「VLCメディアプレイヤー」や「GOM Player」などフリーの動画再生ソフトを利用することでもDVDを再生することができるようになります。
■解決方法
Windows10にアップグレードしたパソコンでDVD動画を無料で快適に再生する方法の詳細手順を以下のページで紹介しています。
2.Windows Media Centerが使えない
上記でも触れましたが、Windows10ではWindows Media Centerが利用できなくなってしまいます。
DVD再生での利用であれば、先に紹介した代替方法を利用することで対応できますが、Windows Media Center機能を利用した市販のTVチューナーなどを利用している場合は、当該メーカーの対応策を待つか、Windows10で使用できる他の同機能商品に買い替えるかしなければならなくなります。
現在Windows7でWindows Media Centerを利用している場合は、Windows10へのアップグレードで余計な出費と手間がかかってしまう場合もあります。
3.サイドバーガジェットが使えない
Windows7で利用することができている時計や天気表示などのサイドバーガジェットも使えなくなります。
Windows10環境でガジェットを使用できるようにするフリーソフトもありますが、サイドバープラットフォームに重大な脆弱性があることから、Microsoftがすでにガジェットの提供を終了しています。
また、時計や天気予報などのガジェットでよく使われているものはWindows10で利用できるアプリやフリーソフトにも同様な機能を持つものが結構ありますので、安全面を考慮すればガジェットを無理に利用しないほうが良いと思います。
4.Windowsフォトビューアーが使えない
Windows10にアップグレードすると、画像表示用ソフトが「フォト」というソフトになっており、標準の状態ではWindowsフォトビューアーが使えなくなっています。
もちろんこのフォトでも画像を表示することができますし、赤目補正やコントラストなどの画像編集機能も付いていますので、慣れてしまえば問題なく利用することができると思います。
それでも画像送りや拡大表示など、Windowsフォトビューアーのほうが使いやすいと感じる場合もあります。
実は、Windows10にもWindowsフォトビューアーがあり、レジストリの変更を加えることで、画像表示用ソフトとして選択できるようになります。
レジストリを変更する作業ですので注意が必要な作業となりますが、Windowsフォトビューアーを利用する機会が多い方は利用できるように設定すると良いでしょう。
■解決方法
Windows10にアップグレードしたパソコンでもWindowsフォトビューアーを使えるようにする方法の詳細手順を以下のページで紹介しています。
5.サインイン画面の前にロック画面が表示される
Windows10では、起動時やスリープ解除時に毎回ロック画面が表示されます。
タブレットPCなどの場合にはカバンの中での誤動作を防止することができることから、ロック画面は有用な機能となるのですが、デスクトップパソコンでは不要な機能ですし、毎回表示される画面をクリックして閉じるのは正直めんどうに感じます。
■解決方法
このロック画面は、Windows10 proなどの「ローカルグループポリシーエディター」が使えるバージョンであれば、以下の方法で非表示にすることができます。
① Windowsキー+Rキーで「ファイル名を指定して実行」ウィンドウを開き、「gpedit.msc」を入力して「ローカルグループポリシーエディター」を開く
② 「コンピューターの構成」→「管理用テンプレート」→「コントロールパネル」→「個人設定」項目内の「ロック画面を表示しない」をダブルクリック
③ 開いた設定画面で「有効」を選択して「OK」をクリック
これで、ロック画面を非表示にすることができます。
6.Windows Updateが制御できない
Windows10は、標準の状態ではWindows Updateの実行時期について設定する項目が用意されていません。そのため、これまでのようにユーザーが更新のタイミングを選択することができなくなりました。
セキュリティ面を考慮した結果としてこのような仕様になったのだとは思いますが、急ぎの仕事をしている際などにWindows Updateが実行されてしまうとかなりの邪魔になってしまう可能性もあり、困りものです。
Microsoftの説明ではパソコンの使用中には実行されないようになっているようですが、10分ほど休憩している間にWindows Updateが実行されるという場合もあるかもしれません。
軽い内容のものであればそれほど問題はないですが、大型Updateと重なってしまうと作業効率が落ちてしまう可能性もあるでしょう。更には設定によっては更新終了後に再起動してしまう場合もあるため、注意が必要です。
この再起動に関しては、「設定」画面から「更新とセキュリティ」を開き、「Windows Update」の設定オプションから「再起動の日時を設定するように通知する」を選択することで勝手に再起動しないようにすることができます。
また、Windows10 proであればWindows Updateの更新時期を多少遅らせることができるようになっています。
※追記
Windows10でもグループポリシーエディターを使うことでWindows Updateの更新時期等を設定することができるようになっています。設定の詳細手順は以下のページで紹介しています。
7.自動メンテナンスが勝手におこなわれる
Windows10では、毎日自動でメンテナンスが実行されるようになっています。
「何も毎日じゃなくても…」と思うのですが、実行時刻の指定はできるものの、Windows Updateと同じく機能自体を停止させることができない仕様になっています。
ただ、実行時に停止させることはできるので、作業中に突然実行されても邪魔になる場合には手動で回避することができます。
実行予定時刻にパソコンがシャットダウンしている場合は、次回起動後のアイドル状態のときにメンテナンスを実行するなど、「できる限り自動メンテナンスを実行するんだ」というMicrosoft側の熱い決意が伝わってくるような仕様となっています。
しかも、最初の設定では実行時刻が真夜中に指定されているうえ、「スケジュールされたメンテナンスによるコンピューターのスリープ解除を許可する」にチェックが入れられているため、夜中にパソコンがスリープ状態から勝手に復帰するようになっています。
Windows10にアップグレードした後、最初にこの現象に遭遇した際には「なぜ何もしてないのにスリープから復帰した??」と結構アセりました(笑)
8.Windows10に対応していないドライバやソフトウェアがある
これはWindows10に限らず、OSが変わる時期には時折発生することなのですが、接続機器のドライバやソフトウェアが対応していない場合には、Windows10にアップグレードすることで使えなくなることがあります。
私のパソコンでも、昨年の段階ではI・OデータのPC用TVチューナーがWindows10未対応だったため利用できませんでした。
現在はWindows10対応バージョンのソフトウェアが公式サイトで公開されており、そのソフトにバージョンアップさせたことでWindows10環境で利用できるようになっています。
このように、後付けで機器を接続している場合はWindows10にアップグレードする際に注意が必要です。
9.高速スタートアップ時にデバイスによる不具合が発生
高速スタートアップ機能を利用することで、確かに起動は速くなるのですが、前回シャットダウン時とシステム構成が異なる場合には正常に起動しなくなる場合があるようです。
私の環境下では、特にデバイスを変更していないのにノートパソコンのWifiをオンにすることができないという現象が発生しました。
高速スタートアップ機能をオフにしてからシャットダウンをした場合には一度も上記の現象が起きなかったことから、この高速スタートアップ機能が影響しているものと推測できます。
私の場合は、通常はスリープを利用しており、シャットダウンはリフレッシュ目的で週に1~2回程度しています。ですので、多少時間はかかりますが高速スタートアップ機能を解除しています。
ある日突然パソコンが正常に起動できなくなると大変困りますし、高速スタートアップ機能を解除することで、従来の再起動(いわゆるコールドブート)をおこなうことができます。
ちなみに、スタートボタンから再起動を選択すれば、高速スタートアップ機能の設定に関係なく、コールドブートされます。
高速スタートアップ機能を利用している場合は、たまに再起動をしてパソコンをリフレッシュさせたほうがよいでしょう。
10.ファイルコピぺする際の案内画面の内容が不便
同じ名前のファイルをコピペする際、Windows7では上記の画面のように、コピペする側のデータがされる側のファイルよりサイズが大きい場合や更新日時が新しい場合にはそれぞれ(大きい)(新しい)と表示されました。
この表示によってどちらが最新データかは一目瞭然で、間違えて新しいファイルを古いファイルで上書きするような失敗を防止できていました。
しかし、Windows10では選択画面には名前とファイルの場所しか表示されず、不案内なものとなっています。
詳細情報をクリックすれば、両方のファイルの日付とサイズが別ウィンドウで追加表示されますが、(大きい)(新しい)の案内はないため日付やサイズを見比べる手間が必要となっています。
自分で変更できるものでもありませんし、作業時に気をつければ良いことなのですが、急ぎの作業時などにケアレスミスする可能性も否定できません。
今後のアップデートでの改善を期待したいところです。
結論 アップグレードがオススメなのは
これまで見てきたメリットやデメリットを踏まえると、Windows10へのアップグレードがオススメなのは以下のような方です。
・現在Windows8や8.1を使っている
・32bit版のWindows7を使っている
・Windows10で動かない(またはその可能性のある)ソフトウェアやデバイスを使用していない
反対に、Windows7の64bit版を使用しているなど現状に特に不満点がないという方や、Windows10で使える新機能に興味がないという方などは、特にアップグレードする必要はないと思います。
最近では数年使い続けたパソコンの動作を少ない費用で簡単に速度アップさせるSSD換装という方法もありますので、無理にWindows10パソコンに買い替えずに現在使用しているパソコンを今後も快適に使い続けることもできます。
SSD換装の作業手順や効果などの詳細は以下の記事で紹介しています。
ちなみに、無料アップグレード期間中に一度アップグレードした後にWindows7/8.1に戻したパソコンは無料期間終了後も無料で再アップグレードできるという情報もありますので、将来アップグレードしたくなるかもと思う人は一度アップグレードしておくという手もありです。
ただ、ネットブックなどの低価格パソコンの場合は無理にアップグレードしないほうが良い場合が多いです。
今回の作業で試したノートパソコンは、CPUがCeleron U3400 1.07GHzとWindows10のシステム要件をとりあえずクリアしている程度の性能で、物理メモリを4GBに増設してあるという仕様のものです。
Windows7環境では、web閲覧やメール送受信、SNSの利用など特に不満なく利用できていましたが、Windows10にアップグレードしてからは時折動作が遅くなるなどの症状が出ていました。
また、起動にかかる時間も、高速スタートアップ機能を利用してもWindows7の時よりも若干時間がかかっていましたし、時々WiFiが利用不可になるなどのデバイス不調も起きていました。
ちなみに高速スタートアップ機能をオフにすると、起動するのに1分20秒程とWindows7の時と比べて倍近く時間が長くなり、使い勝手が悪くなりました。
ですので、比較的低性能のパソコンをお使いの場合は無理にアップグレードせず、現状の動作が快適であればそのまま利用するほうが良いでしょう。
今回のアップグレードの対象となっているWindows7は2020年1月14日まで、Windows8.1は2023年1月10日までサポート期間がありますので、今後数年間は現在のOSのまま使い続けることができます。
サポート期間の終了後はセキュリティ面からもOSの変更が必要となりますが、Windows7でもまだ3年以上先ですから、その頃には現在使用しているパソコンでは性能が低くなっていてOSよりもパソコンそのものの買い替えが必要となっていると思われます。
このように、サポート期間終了についてはそれほど気にする必要はなく、Windows10にアップグレードしたいかどうかで決めると良いでしょう。
Windows10を利用するならメモリ4GB以上で
また、最近ではWindows10が快適に動くノートパソコンはもちろん、上記のようなタブレットとしても使える2in1ハイブリッドPCが3万円台から販売されていますので、そちらの購入を検討するというのもひとつの方法です。
ちなみに購入の際は64bitのOSが快適に動く物理メモリが4GB以上のものを購入することをおススメします。
2GBだとインターネットを見ているだけでメモリが足りなくなることがよくあります。「せっかく新品を買ったのに‥」と後悔をしないように、以下の詳細情報などを参考にぜひしっかりとした性能のものを選んで購入してください。
以上、Windows10のメリット・デメリットについて紹介しました。今後もアップデートなどで機能変更などがあった際には適宜更新していきたいと思います。